経緯台でも天体写真が撮れる仕組み

従来の天体写真で星雲や星団のアップの写真を撮影するとなると大口径の望遠鏡で赤道儀にて天体の動きを追尾して長時間露出(数十分から数時間)を行うというのが通常の撮影方法でしたが、スマート望遠鏡や通常の望遠鏡を使った電視観望のセット等では赤道儀ではなく経緯台という架台に載っているケースが多く露出時間も数分~数十分で素晴らしい画像が浮かび上がってきます。

経緯台というと天体の追尾ができないことから、天体写真には向かない架台と認識されていますがスマート望遠鏡や通常の望遠鏡でも経緯台でありながら天体の自動追尾機能が搭載されているものがあり従来の常識からはだいぶ変わってきました。

自動追尾が出来るとはいうものの、極軸を持っておらず上下左右の動作しかできない経緯台という仕組み上、時間経過とともに少しずつ対象の天体の角度が変わってしまうという現象は避けられませんが、スマート望遠鏡等では、この回転された画像を補正しながら下記の図のように合成していくというソフトウェア面での技術が搭載されており経緯台の特性による回転という問題を画像処理の中で解消しています。

経緯台で天体写真が撮れる仕組み

経緯台で天体写真が撮れる仕組み

実際、とらねこ天文台で使用されている画像は、Seestar S50で経緯台の状態で数分~数十分の露出で撮影した画像が大半を占めています。

ただ、経緯台での撮影であるがゆえに自動追尾して、ソフトウェア的に例えば10秒露出の画像を10分間撮って600枚の画像をコンポジットという画像処理を位置を自動で合わせながら行い合成していることから時間が伸ばせば伸ばすだけ隅に近い部分から画像劣化が見られる場合も出てきます。
それを防ぐためにはSeestar S50には赤道儀モードという機能も搭載されており設置する方法さえ工夫できれば簡易赤道儀のような使い方もでき、最大30秒の露光も可能になるのと、画像のズレも無理やり画像処理に頼らないので画像劣化もおきなくなります。

経緯台で天体写真が撮れる仕組みは、短時間で撮影した画像を何枚も用意して対象の天体の向きを補正しながら画像処理で1枚に仕上げているから可能となったということになります。

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