ここ数年で、望遠鏡の革命とも呼べるスマート望遠鏡というものが存在しています。
このスマート望遠鏡という概念は簡単に説明すると、望遠鏡の接眼レンズを覗く肉眼での眼視を捨てて、CMOSセンサーによる撮影に特化した撮影に必要な機能を一つの機器にコンパクトに搭載したオールインワンの機械となります。
前回の記事で説明したような電視観望(ライブスタック)にも対応でき、気軽にスマトフォンの画面で天体導入から撮影、編集まで全ての機能を有しています。

M31_2025/08/21
20年前に上記のようなM31を撮影しようと思うと、それこそ撮影に一晩粘って撮影を行い、画像処理に何時間もパソコンとにらめっこして画像を作るというのが当たり前でしたが、スマート望遠鏡ではライブスタックの画像を見ながら数十分間少しずつ浮かび上がってくる画像を楽しみながら納得のいく出来栄えになったら保存するというような操作だけで綺麗な画像を撮影することができます。
私の使っているZWO社のSeestar S50という機種の仕様は下記のとおりです。
| 項目 | 仕様 |
| 光学系 | |
| 対物鏡有効径 | 50 mm |
| 焦点距離 | 250 mm |
| 口径比 (F値) | f/5 |
| レンズ構成 | 3枚玉アポクロマート光学系 |
| イメージング | |
| センサー | Sony IMX462 (カラーCMOS) |
| 解像度 | 1920 x 1080 ピクセル |
| 視野角 | 1.48° |
| 機能 | |
| 架台タイプ | 経緯台式 (Alt-azimuth) |
| 自動機能 | オートフォーカス、GoTo、自動アライメント、自動追尾 |
| 撮影モード | 星空モード(ディープスカイ)、風景モード、ソーラーモード(太陽)、ルナーモード(月) |
| 内蔵ストレージ | 64 GB |
| 接続性 | |
| 通信 | Wi-Fi (5G/2.4G), Bluetooth 5.0, USB Type-C |
| 電源 | |
| バッテリー容量 | 6000 mAh |
| 駆動時間 | 約6時間 (フル充電時) |
| 電源入力 | USB Type-C |
| サイズ・重量 | |
| 本体サイズ (H×W×D) | 約 257 × 142.5 × 130 mm |
| 本体重量 (ネット) | 2.5 kg |
| その他 | |
| 動作温度 | 0~40 ℃ (推奨) |
| 付属品 | 専用三脚、専用太陽フィルター、USB Type-Cケーブル、耐衝撃ケースなど |
小口径(5cm)とはいえ3枚玉アポクロマートレンズを使ってる時点で通常の望遠鏡であれば、鏡筒だけで10万円以上の出費となり、自動導入装置も経緯台タイプで安価なものでも5万円前後ぐらいは最低限掛かってしまします。これに安価なCMOSカメラを2-3万円で組み込んで、画像処理ソフトはパソコン上のフリーソフトで構成したとしても合計で20万円近くの機材となってしまいます。それをスマート望遠鏡はコンパクトにオールインワンにうまくまとめてくれて10万円以下で販売されているので価格的にも半分以下のコストで、綺麗に撮影できるわけですから非の打ちようがないぐらいに正直すごいと思います。
当然、小口径なので星団や惑星や月では力足らずの部分も否めませんが、この価格でかつ操作も簡単で図鑑等に掲載されているような写真が簡単に撮影できてしまいますので写真撮影を始める方には丁度良いのかなと思います。
前の記事でも触れていますが、完全な入門者としては肉眼による眼視で楽しむことを覚えてほしいと思いますので、最初の1台目としてはオススメしませんが、次のステップで天体写真を始めたいという方には大変オススメです。

M16_20250720

