【望遠鏡編】最低限覚えておきたい天文用語

望遠鏡を取り扱う際に必要になる基本的な用語をまとめました。購入する際にカタログ等でスペックを確認するために必要になったり、実際に使用する際にも必要になる用語となるので、望遠鏡を使う場合は、こちらの言葉を覚えておくと説明書を読んで理解することが出来るようになると思います。メーカーさん次第では細かな説明書は無しや説明書があっても専門用語については細かな説明がないこともあるので、しっかり事前知識として覚えておくと便利だと思います。

 

1.性能・光学系の用語

口径 こうけい 対物レンズまたは主鏡の有効な直径。口径が大きいほど集光力が高く、暗い星や星雲・星団が見やすくなります。
焦点距離 しょうてんきょり 対物レンズや主鏡で集められた光が一点(焦点)に集まるまでの長さ。望遠鏡の倍率を決める基本の長さです。
口径比(F値) こうけいひ(エフち) 焦点距離を口径で割った値(焦点距離 口径)。F値が小さいほど像が明るく、短時間で撮影できます(野鳥・星雲観測向け)。
倍率 ばいりつ 天体をどれだけ拡大して見られるかを示す値。倍率 鏡筒の焦点距離 接眼レンズの焦点距離 で計算されます。
集光力 しゅうこうりょく 人間の目に比べてどれだけ多くの光を集められるかを示す能力。口径の2乗に比例し、明るさに直結します。
分解能 ぶんかいのう どれくらい細かいところまで見分けられるかを表す能力。値が小さいほど性能が良く、鮮明さ(解像力)に直結します。
接眼レンズ せつがんレンズ 望遠鏡ののぞき口に取り付け、像を拡大して見るためのレンズ。交換することで倍率が変わります。
収差 しゅうさ レンズや鏡の欠陥、または光の性質によって、像がぼやけたり歪んだりする現象(例:色収差、球面収差)。
ファインダー ファインダー 目的の天体を視野に導入するために、望遠鏡の鏡筒の脇に取り付けられた小さな補助望遠鏡(または照準器)。

2.鏡筒の種類

屈折式 レンズで光を集める方式。構造がシンプルで扱いやすく、コントラストが高くシャープな像が得られますが、色収差を抑えるために口径の割に鏡筒が長くなりがちです。
反射式 **凹面鏡(主鏡)**で光を集める方式。主にニュートン式を指し、大口径化が容易で安価に作れますが、鏡の調整(光軸修正)が必要です。
カタディオプトリック式 レンズを組み合わせた方式(例:シュミットカセグレン、マクストフカセグレン)。鏡筒が短く大口径化も可能で、コンパクトです。

3.架台の種類と機能の用語

架台 かだい 鏡筒を三脚に取り付け、保持・操作するための土台(マウント)部分。経緯台赤道儀の2種類が主流です。
経緯台 けいいだい 上下(高度)と左右(方位角)の2つの軸で鏡筒を動かす方式。構造が簡単で直感的な操作が可能ですが、天体を追尾する際は上下左右の操作が必要です。
赤道儀 せきどうぎ 赤経軸(天体の東西方向)と赤緯軸(天体の南北方向)を持つ方式。極軸を天の北極(または南極)に合わせると、赤経軸を動かすだけで天体の日周運動を追尾できます。
極軸合わせ きょくじくあわせ 赤道儀を使用する際、赤経軸を地球の自転軸と平行になるよう、天の北極(北極星付近)に向ける作業。正確な追尾に必須です。
追尾 ついび 地球の自転による天体の日周運動に合わせて、望遠鏡の向きを少しずつ動かし、常に天体を視野の中心に捉え続けること。
導入 どうにゅう 目的の天体を望遠鏡の視野の中心に入れる操作。ファインダー自動導入装置が使われます。
自動導入 じどうどうにゅう コンピュータ制御により、観測したい天体の名前を入力するだけで、望遠鏡が自動的にその天体に向けられる機能。
微動装置 びどうそうち 望遠鏡の向きを少しだけ動かし、天体を正確に視野に入れるための微調整機構。

 

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