【第三回】はじめての望遠鏡の選び方(予算別の望遠鏡)/最終回

あくまでも「はじめての」というお題であることから、ベテラン層や写真を撮るための機材選びではなく、はじめて触る入門機の選び方に特化している記事であることから、あくまでも手軽に見ることを目的とした「はじめての天体望遠鏡の選び方」としては最終回となります。
ここでは、「第一回」「第二回」で掲載した内容を踏まえて初めて触る望遠鏡を予算別に望遠鏡を選定してみました。

Amazonでは国内製でも海外製でも粗悪品のメーカーの製品が実際に多くあり、例えば対物レンズがアクロマート等の光学レンズですらなく、ただの百均の虫眼鏡レベルのものを付けていたり、過剰倍率の望遠鏡を平気で販売していたりと、土星の環すら見えないようなものが出品されています。
異様に自ら品質を謳っているいるようなメーカーや日本製を異様にPRしていたり、中間マージンがないから格安みたいなことを売りにしているような商品は最低限選んではいけない製品が非常に多い印象です。(その中に当たりは全くないということでも無いでしょうが・・・)

購入時に満足できる性能だけで見ると「予算1万円前後」でも構いませんが、長い年月使い続けることを考えると「予算3万円前後」の方が圧倒的に良いと思います。

【選定ポイント】
(1)組み立てが簡単であること
(2)メンテナンスが簡単であること
(3)最低限アクロマートレンズ(光学レンズ)を使用していること
(4)Amazonの評価以外に個人のBLOG等でもレビューが掲載されており評判が良いこと
(5)安価な価格であること

1.予算1万円前後
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メーカー:SVBONY
型番:SV501P(口径:70mm、焦点距離:400mm)
価格:\11,680 (Amazon:https://amzn.asia/d/iy2oovl )
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SVBONYは国内の望遠鏡メーカーのOEM製造を手掛ける等、中国メーカーではありますが、比較的評判のよいメーカーとなります。
1万円前後で購入できるものの中では比較的評判もよく土星の輪を確認することであれば問題のない性能を有しています。
ただ価格相応の部分で、短焦点すぎることもあることから高倍率には適さないことと、三脚は弱いことから慣れてきたらカメラ三脚で大き目なものに変更されることをお勧めしますが、最初に見たい対象である土星・木星・月面・M42等の明るい星雲等を見るには充分なスペックではあります。
次のステップの大きな望遠鏡を購入したとしても、欠点として挙げた短焦点であることは有利に働きファインダー代わりに使用する等の利用幅はあるかと思います。

2.予算2万円前後
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メーカー:ビクセン
型番:スペースアイ700(口径:70mm、焦点距離:700mm)
価格:\22,000 (Amazon:https://amzn.asia/d/9HmFUDS )
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言わずと知れた国内大手望遠鏡メーカーであるビクセンのスペースアイ700は予算1万円で紹介したSV501Pよりも長い焦点距離である700mmという焦点距離となりますので、ある程度の高倍率も出しやすい機種となります。
特徴として微動雲台となっているので、ハンドルを回転させ天体導入時の微調整も行えることもあり、ベテラン層がサブで持っていても日常使いの望遠鏡としても十分な性能があります。
 
3.予算3万円前後
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メーカー:ビクセン
型番:モバイルポルタA70LF(口径:70mm、焦点距離:860mm)
価格:\37,000 (Amazon:https://amzn.asia/d/h2mLWGp )
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鏡筒としては焦点距離が若干長くなったこともありますが、適切な焦点距離のおかげで、この3機種の中では色収差も目立ちにくい印象です。
またモバイルポルタはハンドル操作だけではなく手で直接スムーズに動かせるフリーストップとなっているので一番使いやすいため、予算が許すのであれば一番オススメです。(ポルタ経緯台やモバイルポルタ経緯台は長年天文を趣味にしている人でも使っているような定番商品ですので、本当に長く使えます)

【海外メーカーの望遠鏡は粗悪品か?】
 海外メーカーの望遠鏡だからと言って、必ずしも粗悪品ではありません。(断言します)
逆にいうと国内メーカー製の望遠鏡でも粗悪品は数多く存在します。国内メーカー製で評判の良い望遠鏡が実は中国製のOEMで作られた望遠鏡であること等ざらにあることです。(むしろ近年の望遠鏡事情からすると海外で組み立て製造されたものだらけです)レンズの性能差でいうと確かに国内メーカーの方が性能が担保されている傾向がありますが、海外製の望遠鏡でも一定の価格帯以上の望遠鏡では日本製のレンズが使われていることが多いです。
望遠鏡=工業製品であることからスマホ等と同じで部品レベルで見ると様々な工場で作られた部品の組み合わせですので、設計がしっかりされているかいないかの違いや検品がしっかりされているかの違いが大きいと思います。
組み込み精度や仕上げの丁寧さというところの違いは個人的には生産国の違いよりも販売価格に比例しているケースの方が多いと思います。同じ仕様で評判がよかったり悪かったりするのは設計や製造工程に起因するというよりも出荷前に検品をしっかりしているか否かなので、当然検品がしっかりされていれば、どこの国で製造しようとも価格は似たような金額になります。(そもそも同じ素材のパーツを使っていたら海外だろうと国内だろうと材料費はあまり変わらず、金額を左右する大きな要因は人件費や保管・輸送コストの方が大きくウェイトを占めていているからです)

【日常使いの望遠鏡】
 望遠鏡というものは、大きくなればなるほど沢山の光を集めることが出来ることから、性能だけで見ると当然大きな望遠鏡の方が性能は良いです。またEDレンズやSDレンズ等を使用した何十万円もするような高価なレンズを使用したレンズの方が良好に色消しをおこなっていることから色収差が少なくスッキリした見え方になってきます。しかし、ここで紹介している望遠鏡は小型でアクロマートレンズで完璧とはいえない色収差の残るレンズのもので、価格帯も安価なものとなります。
 ここで考えて貰いたいことは、望遠鏡というのは日常使い出来るものが最初の望遠鏡としてはふさわしいのではないか?ということです。たとえどんなに性能がよくても大きくて重くて扱いにくい望遠鏡は余り使用されずに埃を被ってしまう可能性が高くなります。それよりも仕事や学校から帰ってきて、「今日は晴れてるから見えるかな?」と数分で組み立ててベランダで直ぐに使える方がメリットではないかと思います。
 本サイトでも「郊外の暗いところで」というような表現があるとおり、どんなに性能が良い望遠鏡でも暗い郊外の夜空には叶いません。その暗い郊外の星空を求めて移動する場合でも、ちょっとした望遠鏡バッグに詰め込んで移動することが出来ることは大きなメリットとなります。
 写真撮影やガッツリとした観察をしたいとい要望は確かに大事です。ただ、そのレベルを求める方は、少なくとも「はじめての・・・」ではないので、自身の求める性能を持つ望遠鏡を選択するのは必然であると思いますので、大口径の望遠鏡や特殊レンズを搭載した望遠鏡にするべきだと思いますし、知識があるのであれば大きな反射式望遠鏡や変わったところでドブソニアン等でも構わないと思います。

【自動導入装置について】
 写真撮影をするためにはあった方が確実に良いと思いますが、必須ではないと思います。
特に「はじめての望遠鏡の選び方」という点では自動導入装置での対象の導入よりも、星図とファインダーで自分の手で天体を探すという体験の方が大事だと思いますので、最初のうちは自動導入装置は不要と考えています。

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