M24_2025/07/26

【基本データ】

M番号: M24
NGC番号: なし(※M24の領域には散開星団NGC 6603などが含まれます)
その他の識別名: IC4715、Small Sagittarius Star Cloud(小いて座スタークラウド)
愛称: いて座スタークラウド(Sagittarius Star Cloud)、バンビの横顔(※写真愛好家などの間で使われる呼び名)
天体の種類: スタークラウド(星野・天の川の高密度な星の領域)
星座: いて座
見頃の季節: 夏
視等級(明るさ): 約4.6等
地球からの距離: 約10,000~16,000光年(※M24は単一の天体ではないため、見えている星々の距離は一様ではありません)
見かけの大きさ: 約90分角(資料によって異なり、より広い範囲をM24として扱う場合もあります)

【見え方の目安】

肉眼: 〇(空が暗い場所では、夏の天の川の中に、周囲より明るく濃く見える大きな星の雲として確認できます)
双眼鏡: ◎(M24を楽しむのに特におすすめの機材です。広い視野の中に無数の星々が浮かび上がり、星の密集した「星の雲」を実感できます)
小口径望遠鏡(5~9cm): ◎(できるだけ低倍率・広視野で観察すると、無数の星が視野いっぱいに広がる迫力を楽しめます。M24全体を眺めるには、口径よりも広い視野を確保できることが重要です)
中口径望遠鏡(10~19cm): ◎(低倍率で眺めれば、密集した星々だけでなく、星の間を走る暗黒星雲の複雑な模様や、内部にある散開星団NGC 6603なども楽しめます)
大口径望遠鏡(20cm以上): 〇~◎(M24全体を一度に視野へ収めるのは難しくなりますが、低倍率・広視野で周辺の星野をゆっくりと流すように観察すると、細かな星々や暗黒星雲の構造をより詳しく楽しめます)

※見え方は、望遠鏡の口径だけでなく、空の暗さ、透明度(とうめいど)、月明かり、倍率(ばいりつ)、視野の広さ、観測者(かんそくしゃ)の暗順応(あんじゅんのう)などによって大きく変わります。

【特徴と解説】

M24は、夏の天の川が特に濃く見える、いて座の方向にある巨大なスタークラウド(星野)です。この天体がメシエカタログの中でも非常に珍しい存在なのは、M1かに星雲やM13球状星団のような、ひとつの物理的な天体を登録したものではないことです。

M24は、天の川銀河の中にある星々が密集して見える広大な領域を、シャルル・メシエがひとつの天体としてカタログに記録したものです。NASAもM24を、通常の星団や星雲とは異なる「スタークラウド」として紹介しています。

では、なぜM24の部分だけが、周囲の天の川よりもひときわ明るく見えるのでしょうか。その秘密が、M24の最大の特徴である天の川の覗き窓です。

私たちの太陽系から銀河系中心方向を見ると、手前には大量のガスや宇宙塵からなる暗黒星雲が存在し、遠くの星々の光を遮っています。ところがM24の方向には、たまたまこの遮光物質が少ない部分があります。そのため、まるで暗黒星雲のカーテンに開いた穴から向こう側を覗くように、遠方にある天の川銀河の星々が大量に見えているのです。NASAは、この窓を通して約10,000~16,000光年先の星々を見ていると説明しています。

つまりM24は、星がひとつの場所に巨大な塊として集まった星団なのではありません。天の川の奥に広がる星々が、手前の暗黒星雲の切れ目を通して密集して見えている場所なのです。この独特の見え方こそが、M24をメシエカタログの中でも特に個性的な存在にしています。

また、M24の領域には散開星団NGC6603をはじめ、暗黒星雲などさまざまな天体が存在しています。M24そのものと、そこに重なって見える個々の星団・星雲は区別して考える必要があります。

写真では、明るい星々とその間を走る暗黒星雲が複雑な模様を作り、バンビの横顔に見えるとして紹介されることもあります。

【観測のポイント】

M24を観察する最大のポイントは、倍率を上げることではなく、広い視野で眺めることです。M24は非常に大きく広がった星野なので、高倍率にすると全体像が見えなくなり、単なる星がたくさんある場所に見えてしまいます。

双眼鏡や広視野の望遠鏡で低倍率にすると、視野いっぱいに無数の星が浮かび上がり、まさに「スタークラウド」という名前にふさわしい光景になります。

特に空の暗い場所では、肉眼でも夏の天の川の中にM24の明るく濃い部分を見つけることができます。

そこへ双眼鏡を向けると、肉眼ではひとつの淡い雲のように見えていた光が、無数の星へと分解されていきます。

さらに望遠鏡でゆっくりと星野を流していけば、星の密集した領域と、その間を横切る暗黒星雲の黒い切れ込みが現れます。

M24では、特定の一つの星や星団を見るというよりも、

天の川銀河そのものを覗き込む

ような感覚を味わえるのが最大の魅力です。

まさに、宇宙の奥行きを肉眼で感じられるスタークラウドです。

【撮影データ】

撮影日: 2025年7月26日
撮影機材: スマート天体望遠鏡 Seestar S50