
【基本データ】
M番号: M15
NGC番号: NGC7078
愛称: 特になし
天体の種類: 球状星団(きゅうじょうせいだん)
星座: ペガスス座
見頃の季節: 秋
視等級(明るさ): 約6.2等
地球からの距離: 約3.3万光年
見かけの大きさ: 約18分角
【見え方の目安】
肉眼: ×~△(非常に暗く澄んだ空では、視力の良い観測者なら肉眼で確認できる可能性がありますが、淡く広がった天体のため、一般的な市街地ではまず見えません)
双眼鏡: 〇(恒星とは違う、丸くぼんやりとした光のシミとして確認できます。空が暗ければ、中心部がやや明るく見えることもあります)
小口径望遠鏡(5~9cm): 〇(6~8cm程度の望遠鏡でも、中心に向かって明るくなる、球状星団らしい姿を楽しめます。星を一つ一つ分離するのは難しいものの、周辺部に粒状感が感じられる場合があります)
中口径望遠鏡(10~19cm): ◎(空の条件が良ければ、周辺部の星が少しずつ粒状に分かれて見え始めます。非常に明るく集中した中心部との対比も見どころです)
大口径望遠鏡(20cm以上): ◎(周辺部の星が細かく分離して見えるようになり、中心に向かって極端に星が密集していく様子を楽しめます。ただし、中心部は非常に密集しているため、すべての星を分離して見ることは困難です)
※見え方は、望遠鏡の口径だけでなく、空の暗さ、透明度(とうめいど)、月明かり、倍率(ばいりつ)、観測者(かんそくしゃ)の暗順応(あんじゅんのう)などによって変わります。
【特徴と解説】
M15は、秋の夜空に浮かぶペガスス座にある、非常に美しく見ごたえのある球状星団(きゅうじょうせいだん)です。ペガスス座の鼻先付近に位置しています。
この星団は、中心部の星の密集度が特に高い球状星団の一つとして知られています。中心付近には非常に多くの星が集まり、外側から中心に向かうにつれて、光が急激に集中していくように見えます。このように中心部が極端に集中した構造を持つ球状星団は、中心崩壊型(コア・コラプス)の球状星団として分類されます。
M15はまた、約120~130億年ほどの年齢を持つと考えられている、非常に古い球状星団の一つです。宇宙が現在の姿になるはるか以前に誕生した星々が、現在もひとつの星団として集まっているため、まさに宇宙の歴史を刻む星の集団といえるでしょう。
星団の中には、明るさを変える変光星(へんこうせい)が多数存在します。特にRRライラ型変光星は、球状星団の距離や性質を調べるうえでも重要な存在です。
さらにM15には、Pease 1(ピーズ・ワン)と呼ばれる惑星状星雲(わくせいじょうせいうん)も存在します。これは、年老いた恒星が放出したガスが輝いている天体で、球状星団の中にある惑星状星雲として非常に有名です。ただし、非常に小さく淡いため、観望には大口径望遠鏡や適切な観測条件が必要となる難物です。
そしてM15をさらに興味深い天体にしているのが、中心部にブラックホールが存在する可能性です。
M15の中心部は非常に高密度で、そこにある星々の運動などを詳しく調べることで、中心に中間質量ブラックホール(IMBH)が存在する可能性が研究されています。また、M15の中心領域ではX線を放射する天体も確認されています。
ただし、M15の中心にブラックホールが存在することが確定しているわけではありません。中心部の非常に複雑な星の分布や運動をどのように解釈するかについては研究が続いており、ブラックホールの存在を支持する説と、別の説明を考える研究があります。
そのため現在のところは、ブラックホールが潜んでいると断定するのではなく、中間質量ブラックホールが存在する可能性が研究されているという表現が適切です。
【観測のポイント】
M15は、双眼鏡や小口径望遠鏡でも、比較的見つけやすい球状星団です。
双眼鏡では、恒星とは異なる丸く淡い光のシミとして見えます。望遠鏡を使うと、中心に向かって光が強く集中していく様子がわかり、M15特有の非常に密集した構造を感じることができます。
6~8cm程度の小口径望遠鏡では、中心部を完全に星へ分離することは難しいものの、周辺部にわずかな粒状感が感じられることがあります。
10cm以上の望遠鏡では、空の条件が良ければ周辺部の星が徐々に分離して見え始めます。さらに口径を大きくすると、中心へ向かって星の密集度が急激に高くなっていく様子が、よりはっきりとわかります。
一方、M15の中心部は非常に高密度なため、大口径望遠鏡を使っても中心の星を完全に一つ一つ分離して見ることは困難です。この分離できないほどの密集感そのものが、M15の大きな魅力の一つです。
望遠鏡を覗きながら、
「この小さな光の中には、約120~130億年前に生まれた星々が集まり、その中心にはブラックホールが存在する可能性まで研究されている……」
と想像してみるのも、M15ならではの楽しみ方です。
【撮影データ】
撮影日: 2025年7月13日
撮影機材: スマート天体望遠鏡 Seestar S50