
【基本データ】
M番号: M9
NGC番号: NGC6333
愛称: 特になし
天体の種類: 球状星団(きゅうじょうせいだん)
星座: へびつかい座
見頃の季節: 夏
視等級(明るさ): 約7.7等
地球からの距離: 約2.6万光年
見かけの大きさ: 約12分角
【見え方の目安】
肉眼: ×(暗いため、肉眼で見ることはできません)
双眼鏡: △(小さく、暗い星のようなぼんやりとした光の点に見えます。空が暗い場所では、存在を確認しやすくなります)
小口径望遠鏡(5~9cm): △~〇(丸くぼんやりとした光のシミに見え、星の一つひとつに分けて見るのは困難です)
中口径望遠鏡(10~19cm): 〇(丸い光の中に少しざらついた感じが現れますが、中心部の星を分離して見るのは難しいでしょう)
大口径望遠鏡(20cm以上): ◎(周辺部の星が分かれて見え始め、条件が良ければ中心部にも星の粒状感が現れます。星が中心に向かって密集した、球状星団らしい姿を楽しめます)
※見え方は、望遠鏡の口径だけでなく、空の暗さ、透明度(とうめいど)、月明かり、倍率(ばいりつ)、観測者(かんそくしゃ)の暗順応(あんじゅんのう)などによって変わります。
【特徴と解説】
M9は、夏の夜空に見える、へびつかい座の足元付近にある球状星団(きゅうじょうせいだん)です。
地球から約2.6万光年離れた場所にあり、天の川銀河(あまのがわぎんが)の中心方向に近い場所に位置しています。銀河中心からは約5,500光年ほどしか離れていないとされ、銀河の中心部に近い場所を周回する球状星団の一つです。
このM9を発見したシャルル・メシエは、自分のカタログに星を含まない星雲。円形で暗いという趣旨の記録を残しています。
現在ではM9が、数多くの古い恒星が重力によって集まった球状星団であることがわかっています。しかし、メシエが観測した18世紀の望遠鏡では、星の一つひとつを分離して見ることが困難でした。
M9は見かけの大きさが比較的小さく、しかも中心部に星が非常に密集しています。そのため、当時のメシエには、たくさんの星が集まった星団ではなく、ぼんやりとした星雲のように見えたのです。
その後、より大きな望遠鏡による観測が行われ、M9が多数の星からなる星団であることが明らかになっていきました。
メシエには星を含まない星雲に見えた天体が、現代では無数の星が集まった球状星団として知られています。この違いは、望遠鏡の性能が天文学の発展にどれほど大きな役割を果たしたのかを感じさせてくれます。
【観測のポイント】
メシエの記録が示しているように、M9は小さな望遠鏡では星の一つひとつに分解して観察することが難しい天体です。
小口径の望遠鏡では、丸くぼんやりとした光のシミのように見えます。口径が大きくなるにつれて、周辺部に星の粒が見え始め、球状星団らしい姿が少しずつわかってきます。
特に空の暗い場所で観察すると、M9の中心に向かって星が密集していく様子を感じ取ることができます。
M9を観察するときは、単に星がたくさん見える天体として眺めるだけでなく、
「メシエの時代には、これが星の集まりだとはわからなかった」
ということを想像してみてください。
当時の天文学者が見ていた、ぼんやりとした姿と、現代の望遠鏡で見えてくる無数の星の集まり、その違いを比べることで、M9は天体そのものだけでなく、天文学の歴史や望遠鏡の進歩についても考えさせてくれる天体になります。
【撮影データ】
撮影日: 2025年8月19日
撮影機材: スマート天体望遠鏡 Seestar S50