天体望遠鏡や鏡などの光学系を通して物を見ると、見え方には正立像(せいりつぞう)と倒立像(とうりつぞう)の2種類があります。望遠鏡で星雲や星団、惑星を見ているときはあまり気になりませんが、月や地上の風景を覗いたときに「あれ、肉眼で見える向きと違うぞ?」と気づく方も多いのではないでしょうか。実は、この見え方の向きの違いは、望遠鏡の操作性にも大きく関わってくる初心者にとって最初の関門(慣れが必要なポイント)となります。
※望遠鏡自体の種類については、後日別の記事で詳しく解説します。今回はまず正立像と倒立像の実際の見え方と特徴を学んでいきましょう。
1. 正立像
正立像とは、実物(物体)と同じ向きに見える像のことです。肉眼で見たときと同じように「上が上、下が下」として観察できます。
【主な特徴】
直感的に操作できる:肉眼と同じ向きで見えるため、ファインダーを覗きながらの天体導入(導入作業)や手動での追尾がスムーズに行えます。
採用されている機種:一部の天体望遠鏡や、スマート望遠鏡Seestar s50などで採用されています。
注意点:像の向きを元に戻すために補正レンズ(プリズム)を追加で挟むため、見え方にわずかな画質の劣化が生じることがあります。

2. 倒立像
倒立像とは、実物に対して上下左右が180度ひっくり返った(逆さになった)像のことです。
【主な特徴】
望遠鏡の主流:一般的な天体望遠鏡のほとんどは、この倒立像で見えます。
操作に「慣れ」が必要:ファインダーや接眼レンズを覗きながら望遠鏡を動かす際、自分が動かしたい方向とは逆の向きに動かす必要があります。慣れるまでは「思った方向に動かない!」と惑わされがちです。
画質がクリア:余計な補正レンズを通さないため、天体本来の鮮明で明るい光をそのまま観察できます。

望遠鏡を手にして最初は倒立像の操作に戸惑うかもしれませんが、何度も動かしていくうちに自然と手が覚えるようになりますので、あきらめずに慣れるという行為そのものを楽しんでみてください。