相対黒点数(ウォルフ黒点相対数)は、太陽活動の指標として用いられる数値で、太陽表面に存在する黒点と黒点群の総量を計測、数値化したものとなり、以下のような計算式となります。
※ここで求める値は、今回の観測画像から簡易的に算出した相対黒点数であり、SILSOが公表する国際黒点数(International Sunspot Number)の月平均値とは異なります。
R=k(10g+s)
各変数の意味は以下の通りです。
R: 相対黒点数
g: 黒点群の数(group)
s: 個々の黒点の総数(spot)
k: 観測者や望遠鏡の条件による補正係数(通常、一般的な計算では 1とします)

1.まず普通に黒点の数を数えてみる
上記の太陽の画像内で、はっきりと確認できる黒点が 6個 あります。
中央やや左上: 2個
右下: 3個(小さな黒点が集まっています)
右端付近: 1個
2.相対黒点数(ウォルフ黒点相対数)を用いた計算
1. 変数の確認
黒点の総数 (s): 6
黒点群の数 (g): 3
画像を見ると、黒点は大きく3つのグループに分かれているように見えます。(①中央やや左上の2個のまとまり、②右下の3個のまとまり、③右端の1個)
補正係数 (k): 1 と仮定します。※ここでは学習目的として、補正係数kを1として簡易計算しています。実際の国際黒点数とは算出方法が異なります。
2. 計算
これらの数値を式に代入します。
R = 30 + 6
R = 36
3. 評価
相対黒点数36という数値は、太陽活動の周期全体から見ると「やや少ない」から「中程度」と言えます。太陽の黒点数は一定ではなく、約11年の周期で増減(極小期と極大期)を繰り返しており、一般的な目安は以下の通りとなります。
極小期(最も少ない時期): 相対黒点数は 0 に近くなります。黒点が全く見えない日が何日も続くことがよくあります。
極大期(最も多い時期): 相対黒点数は 100〜150 を超え、非常に活発な周期では 200以上 になることもあります。
この基準に照らし合わせると、今回の36という結果は、太陽活動が完全に停止しているわけではありませんが、ピーク時に比べると大人しい状態を示しています。活動の極小期から極大期に向かう途中、あるいは極大期を過ぎて落ち着いてきている時期によく見られるような数値となります。
※今回の観測では36となりました。これは黒点がまったく見られない状態ではありませんが、単日の値だけから太陽活動周期全体の位置を判断することはできません。太陽活動の長期的な変化を見るには、日別・月平均などの継続的な観測値を見る必要があります。
4,考察(太陽活動が落ち着いているなら、気温も少し涼しくなってもいいのでは?)
太陽黒点の増減(太陽活動の11年周期)と、私たちが日々体感している異常な暑さには、直接的な強い関係はありません。
黒点が多い時期と少ない時期とでは、太陽から地球に届くエネルギー(太陽放射照度)の量も変動しますが、その差はわずか 0.1%程度 にすぎません。このわずかな変化は、地球の気温を急激に押し上げるほどの要因にはならないといえます。なぜ異常な暑さになるのか?その主な原因は、宇宙ではなく地球自身の環境や気象条件にあります。
(異常な暑さの主な原因)
地球温暖化(ベースラインの底上げ) 温室効果ガスの増加などにより、地球全体の平均気温が長期的に上昇しています。気温のベースラインが昔よりも高くなっているため、そこに夏の暑さが加わると、容易に過去の記録を更新するような異常な猛暑になりやすくなっています。
気象条件(高気圧の重なり) 日本の夏に猛暑をもたらす典型的な原因として、上空で太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり合う現象があります。これにより、分厚い布団を2枚重ねたように熱が閉じ込められ、強烈な下降気流によって空気が圧縮されて気温が急上昇します。
ヒートアイランド現象(都市部特有の要因) 東京などの都市部では、地面がアスファルトやコンクリートで覆われているため熱を蓄えやすく、さらにエアコンの室外機や自動車からの排熱が加わります。緑地も少ないため水分の蒸発による冷却効果が働きにくく、夜になっても気温が下がりにくい状況を作り出しています。
季節的な蓄熱 8月は、北半球では太陽の高度が高く日照時間が長いため、海や陸地に最も熱が蓄積されている時期にあたります。そのため、太陽表面が穏やかで黒点が少ない時期であっても、地球上では危険な暑さが発生します。
このように、現在の異常な暑さは太陽が発するエネルギーが急激に強くなったからではなく、地球の大気が熱を逃がしにくくなっていることと特定の気象パターンが重なっていることが原因ということになります。